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広島に新しい灯がともる

「THE KNOT HIROSHIMA」にかける思い

世界史上初めて核兵器を投下された都市として世界的にも知名度が高く、「国際平和文化都市」としても影響力を有する「広島」。広島は過去の悲しい歴史を背景に、活気ある街に生まれ変わっている。
県内には、「宮島・嚴島神社」と「原爆ドーム」、2つの世界文化遺産が所在する。瀬戸内の温暖な気候と恵まれた自然に囲まれ、世界中から観光客が訪れる。外国人観光客は年々増加し、2019年まで8年連続で過去最高を更新している。2019年には約185万人の外国人観光客が広島に訪れた。

広島は、商品マーケティングにおいて、1番最初に先行販売される街としても知られている。広島の人が熱しやすく冷めやすいと言われるのは、常に「今」を大切にしているからだろう。どこよりもLIVE感を大切にしている。流しのミュージシャンに聞くと、広島ではどこのお店に飛び込みで入っても演奏をさせてくれるライブハウスのような街だと言う。目の前で焼かれるお好み焼きも広島の求めるLIVE感から浸透したのかもしれない。



「THE KNOT HIROSHIMA」のデザインコンセプトは、”HIROSHIMA LIVE-ING(ヒロシマライビング)”。
使い古された情報ではなく、生の広島のモノコトが知れる場所。
素材の持つ魅力を引き出し、その場で調理される料理。
デジタルで整え作られた音楽ではなく生演奏が聞こえる空間。
小さな発見から大きな感動まで、たくさんのLIVEが生まれ、心地よい活気に溢れた場所。
様々な出会いと交流がこの場所で生まれることを願い、ヒロシマライビングをデザインコンセプトに掲げた。

平和記念公園が面している平和大通り沿いに位置する「THE KNOT HIROSHIMA」は、1階にオールデイダイニングレストラン「MORETHAN」を迎え、2020年12月10日、グランドオープンした。

「THE KNOT HIROSHIMA」のプロジェクトは、いちご、東亜地所株式会社、株式会社ゲンバカンリシステムズの共同事業となっている。長年この場所に本社を構え、街の成長とともに生きる東亜地所代表取締役社長の西本義弘氏は、これまで広島になかった新しいタイプのホテルの誕生に今後の期待を語る。

「元々、3階建ての本社ビルは、せっかくの好立地であるにも関わらず、高さを活かすことが出来ていなかったため、有効活用を検討していた。これまでたくさんの引き合いはあったが、満足のいく提案が得られていなかったところ、広島に本店を構える建設会社ゲンバカンリシステムズ德田社長とのご縁で、いちごの提案を受けた。思い入れのある土地のため、手放すことは考えていなかったが、土地を所有したまま、共同事業としてホテルを一緒にやりましょうという提案を受け、プロジェクトをスタートした。」

広島では平和教育が自然に浸透している。8月6日はハチロクと呼ばれ、夏休み中でも学校に出て慰霊を行う。被災した目の前の川に対しても、広島市民の思い入れは深い。
「いちごは、ホテル建設に際し、広島の歴史を尊敬し、意識したいと話してくれた。いちごの社長、副社長とも新入社員の時に広島配属だったという話や当時の思い出話を聞き、広島への特別な思い入れが伝わった。広島を理解する人が広島のために取り組んでくれることが嬉しかった。」


広島は、バブル成長や高度成長により大きく発展した。オバマ大統領が平和記念公園に訪問し世界に発信したことで、世界的な注目度も急激に高まった。その3年後には、バチカン市国のローマ法王も広島に訪れた。しかし一方、広島には海外の観光客を受け入れる受け皿が不足していた。平和記念公園や原爆ドームまで徒歩5分程度に所在するこの立地に新しいホテルが出来ることを広島市民としても嬉しく思うと話す。

「アートを散りばめ、細部にまでこだわったホテルの完成に心が躍った。GWに開催されるフラワーフェスティバルは、国内でもトップクラスの集客力を誇る。これから、たくさんの人々が集う場所になって欲しいと願っている。」と西本氏は期待を語った。

「THE KNOT HIROSHIMA」は、最上階にフロントを設置し、日本酒バーも併設している。
1階には、オールデイダイニングレストラン「MORETHAN」がホテルと感じさせない活気ある空間を演出している。このホテルに求めたLIVE感に「MORETHAN」は欠かせない。

「MORETHAN」を引っ張る2人のリーダーがいる。Managerの深川純平氏とProject Coordinatorの鈴木優太郎氏だ。2人とも東京生まれ東京育ち。広島は旅行で来た程度で、ゆかりのない土地であったが、このプロジェクトのために、広島に移り住んだという。

両氏は、広島をあたたかい街だと言う。
「変な気遣いもなく、遠慮することもない。変な遠慮は逆効果。東京から来たと一線を引かれてしまう。いちごは他のビルオーナーとは異なり、相談すると聞いてくれる、そして、自由にさせてもらえることが多い。広島で遠慮なく思い切って自分たちのお店を作ろうと思った。」

「MORETHAN」を、街に必要とされる存在にしたいと深川氏は話す。
「MORETHANで食事し、最上階のバーで夜景を楽しんでいただく。テラスでは昼間から海外の方がビールを片手に会話を楽しむ。朝も昼も夜もホテルだからこそ楽しめる。そんな光景をイメージしている。」

「広島の方々に愛されなかったら、ホテルに来ていただく方に愛されるはずがない。今まで大切にしてきたことをそのまま広島でも表現し、広島でどんな反応があるのか楽しみにしている。」鈴木氏はそう話す。


ホテルという3文字が敷居を高くしてしまわないように、興味を持っていただいている通行人の方にも気軽に声掛けをして、もっと身近な場所にしていきたい。ホテルなのにホテルらしくない空間、ホテルだからこその大切な時間を作っていきたいと二人は笑顔を浮かべた。


「THE KNOT HIROSHIMA」に青果を卸しているのは、グループ会社が広島の名物弁当「むさし」を手掛ける株式会社浮田青果だ。最上階の日本酒バー「Kei」とオールデイダイニングレストラン「MORETHAN」に地元の新鮮な青果を提供している。

そして、浮田青果でもう一つ名物となっているのが、果物を仕入れる「さっちゃん」こと、執行役員 部長の石田五月氏。石田氏は、市場のセリに参加する、中国四国地方唯一の女性である。セリに参加するようになって20数年、市場では皆から「さっちゃん」と呼ばれている。いつも笑顔を絶やさない人柄が男性ばかりの市場でも親しまれている。

「浮田青果ではトラック運転手として入社した。まさか自分がセリに出ることになるなんて思いもしなかった。でも、次第に市場の仕事が楽しくなり、今では当時任命してくれた上司にとても感謝している。」

広島は年中果物のある産地である。ピオーネやシャインマスカット等のぶどう、そして何より日本一の「広島レモン」。年中生産されるレモンは、今ではブームとなっている。地元の新鮮な果物を広島の方はもちろん、観光で広島に訪れた方にも是非食べていただきたいと石田氏は言う。
終始笑顔ながらも照れくさそうに話をする石田氏は、最後に最高の笑顔でこう言った。
「私が自信を持って言えることは、全国どこの市場の人より、仕事が好きだということ。広島に浮田青果あり、広島に石田ありといわれるまでは絶対やめない。」


「THE KNOT HIROSHIMA」のPR・ブランディングを担当するのは、株式会社mintの中西順也氏と奥様の西岡梓氏。笑顔の素敵なご夫婦である。広島を中心に数多くのPR実績を有しており、目的に照らし課題解決へと導くデザイン力に定評がある。中西氏は広島出身で、mintでは観光事業も手掛けている。

両氏といちごの出会いには、奇遇なご縁を感じる。
このプロジェクトとは直接関係のない接点でいちごと出会い、「広島」をキーワードに「THE KNOT HIROSHIMA」のPRを担当することとなった。結び目という意味を持つ「KNOT」らしい出会いだ。

西岡氏は広島に来て9年となる。同氏は広島を「大好きな街」と言う。
「広島の人は心が優しい。シャイなところもあるが仲良くなると一気に距離が縮まる。何事にも熱い街。海や山も自転車圏内にあり、瀬戸内の点在する島を船で気軽に渡ることも出来る。広島という街の空気感と身近な自然が観光の魅力。」
両氏は「THE KNOT HIROSHIMA」に来て、このホテルへの思いやこだわりが溢れるほど詰まっていることを肌身で感じたという。
「街との接点を大切にするTHE KNOTのコンセプトに共感した。私たちがPRやブランディングを考える時、ホテルを見るよりも、広島の街を眺めヒントを探している。」


ブランディングでは、1階エントランスのアートキュレーション、SNSによる発信、タブロイド製作を行う。「THE KNOT HIROSHIMA」には明確なコンセプトがすでにあるため、コンセプトワークではなく、いかに分かりやすく街の人々や観光客に繋いでいくかを大事にしていると両氏は話す。

現在、エントランスには印象的な7枚の絵が飾られている。
広島は川と共存している街。現在6本の川が流れているが、元々は7本の川が流れていた。7本の川をコンセプトとし、広島や平和をテーマとした「広島」への思い入れの深い作品を展示している。

「THE KNOT HIROSHIMAのPRに携わることを心から楽しみたい。宿泊以外でホテルを利用するという概念は、今までの広島にはなかった。お洒落で洗練された様相でも、街の人たちが気軽に立ち寄れる。そんな新しい空気感を伝え、まずは地元の人に愛される場所にしたい。そのうえで世界中の人々が広島の街を肌で感じていただける場所にしたい。」と両氏は「THE KNOT HIROSHIMA」にかける思いを語った。

「THE KNOT HIROSHIMA」のフィロソフィーは、”タイトルは、まだない”。
コロナによる影響もあり、本格的に人々が集うようになるには、まだ少し時間がかかる。人が集い、たくさんのLIVEが生まれて初めて、「THE KNOT HIROSHIMA」は完成する。
平和記念公園にある「平和の灯」のように、いつまでも消えない灯を「THE KNOT HIROSHIMA」はともし続ける。

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