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岡山県笠岡市における水上太陽光発電所の取り組み

再生可能エネルギーを地域の再生と活性化に

瀬戸内海の入江に佇む岡山県笠岡市。何百年にもわたって農業と漁業を生業(なりわい)としてきた、こののどかな港町には生きた化石と言われる天然記念物カブトガニが生息する。

他の小さな地方都市同様、笠岡市も高齢化、人口流出、農業衰退の例に漏れない。これに加え、7月にこの地域を襲った大型台風は、気候変動の影響をまともに受けるこの地域の地理的事情をも露呈した。浸水や倒壊など住宅の被害は何百戸にも及び、また、3名が犠牲となった。

その笠岡市が新たな有望産業を創出すべく立ち上がったところへ、サステナブル社会の実現に取組むいちごが手を挙げた。クリーンエネルギー事業も手掛けるいちごは、太陽光発電で笠岡市の復興と再生を支援する。総額およそ9億円をかけて建設された2つの太陽光発電所は既に稼働しており、3件目が間もなく着工、4件目の発電所建設も内定している。

太陽光発電事業を市にもたらしたいちごについて、小林嘉文市長はこう語る。「笠岡市は、地球温暖化防止に貢献しつつ、市民生活の向上を図りたいと考えていました。財政的に自立し、中央への依存度を減らす方法を模索していたのですが、いちごは笠岡の遊休地活用によって、まさに私たちの経済的自立の道を開いてくれたのです。」

いちごは、笠岡市の協働事業者に内定した段階から市と連携し、笠岡湾干拓地における太陽光発電所建設を推進してきた。この干拓地は、1990年代初頭に住宅建設用として開拓されたものの、何十年も手つかずのまま雑草に覆われ、また害獣の住みかとなっており、近隣農家を悩ませていた。

そして2016年3月に、1.12MW(メガワット)を発電するいちご笠岡拓海町ECO発電所が稼働した。これは、370世帯分の消費電力を賄う発電量だ。

日本で急速に伸びている太陽光発電事業をその環境基本計画の重点プロジェクトに据える笠岡市の取組みを、いちごはその側面から支える。国際エネルギー機関が発表した2017年の報告書によると、日本における太陽光発電の設備容量は42.8ギガワットに達しており、中国に次ぐ世界2位の規模だ。

いちごのエンジニアが緊急用充電所を点検 (いちご笠岡拓海町ECO発電所にて)

いちごのエンジニアが緊急用充電所を点検
(いちご笠岡拓海町ECO発電所にて)

いちごから贈られた電気自動車

いちごから贈られた電気自動車

自然災害時の非常用電源確保を可能にする提案内容も、いちごが選ばれた理由のようだ。いちごは、停電時の電源コンセントおよび、充電所設置に1千万円を投じている。また、いちごは笠岡市に2台の電気自動車を寄贈している。2011年の東日本大震災と津波により被災地へのガソリン供給が絶たれたことを受け、そのような事態に役立てたらとの思いからだ。

笠岡市初の太陽光発電事業を成功させたいちごは、市が抱えるもう一つの問題解決を念頭に、2件目の太陽光発電所建設を提案した。それは、かつて農業用として整備されたものの、農業の衰退とともに放置され、市の財政的負担となっていたため池の活路を開くものだった。

その提案とは、使用されなくなった何百ものため池の一つの修繕維持費を負担するという内容で、かわりに、水上太陽光発電所を建設するというものだった。かつてのため池は今、太陽光発電用のパネルで覆い尽くされている。

プラスチック製架台の上に8,800枚もの太陽光パネルを並べたいちご笠岡岩野池ECO発電所は2018年3月に竣工、2.64MWの出力で笠岡市に電力を供給している。いちごのエンジニアが設備維持や点検などのためにこの水上太陽光発電所に向かう際には、胴付長靴を身に着け、ボートで出動する。

水上太陽光発電所の検査に向かう いちごのエンジニア、諏訪邉広紀

水上太陽光発電所の検査に向かう
いちごのエンジニア、諏訪邉広紀

水上太陽光発電所の上を歩く いちごのエンジニア、諏訪邉

水上太陽光発電所の上を歩く
いちごのエンジニア、諏訪邉

また、地元コミュニティとの取組みとして、池の周辺の整備にも参加しており、住民の方々と草刈りをしたり、近隣の子供たちの安全のためにLEDの街灯を設置したりしている。いちごは、笠岡市に同規模の水上太陽光発電所をもう1件建設する予定で、2019年12月の完成を見込んでいる。

いちごの太陽光発電事業は、笠岡市に待望の新たな財源をもたらした。既に稼働中の2か所の太陽光発電所からの税収、賃貸収入、寄付金などは、年間で合計1,100万円程度だ。市はその一部を、電気自動車購入や自宅に太陽光パネルを設置する際の市民への補助金に充てている。さらに、その一部は将来の環境プロジェクト用に確保している。

いちご笠岡岩野池ECO発電所
いちご笠岡岩野池ECO発電所

いちごによる2件目の水上太陽光発電所も2019年の完成に向け進行中

最初に提案を受けた時から、いちごのプロジェクトは地域にとって最良だと思いました。実際、災害への備えを強化できたうえ、将来の環境事業のための資金確保も可能になりました。

いちごは、常に地域社会とともに持続可能な方法で、両者がともに利益を享受できる方法を模索しています。地域社会とともに、地域社会のために力を尽くす。それが、いちごです。

岡山駅から山陽本線に揺られること40分

岡山駅から山陽本線に揺られること40分
目の前には笠岡市の絶景、瀬戸内海の入江が広がる

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